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今話題の人的資本経営、人事の役割とは?

はじめに

ビジネスの多様化や同業他社間の競争の激化、労働人口の減少など国内において企業を悩ます問題は山積みです。

そうした中で人事の役割は従来と変わりつつあり、より多くのことが求められるようになりました。採用や育成といった人事に関する業務だけではなく、人事としての知識や経験を活かして経営にコミットすることも求められています。

本記事では人的資本経営の概要を押さえた上で、人的資本経営における人事の役割を見ていきましょう。

人的資本経営とは

人的資本経営では企業で働く従業員を資本とみなし、人材価値をアップさせることで中長期的な企業価値を高めることを目指します。

従業員が自社の戦力となるまでには教育コストがかかるため、すでに能力のある人材を派遣会社などを利用して一時的に雇用するという方法もあります。しかし従業員を資本とみなした場合、人材育成の費用は将来のための投資としてポジティブにとらえられます。

自社で人材を育成することで自社の業務やカルチャーにマッチし、かつ高いスキルをもつ従業員を多く抱えることができます。

人的資本経営が求められている背景

現在の日本では多くの企業が人的資本経営の重要性を認識するようになりました。その背景には少子高齢化が関係しています。労働者人口の減少によって企業は求人を出しても、応募者が集まらなかったということも増えてきています。そのため既存の従業員に負担を強いらなければならない状況に陥ったり、事業の縮小が不可欠となったりすることも珍しくありません。

従業員のスキルを高めることで少数精鋭によって業務をまわし、利益を上げていくことができます。また、個々の従業員が自社の利益に大きく貢献できれば、人件費を抑えることも可能です。

人的資本経営における人事の役割

人的資本経営で成功するためには人事の役割が重要になります。とはいえ、人事にはどのような役割が求められているのか詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、人的資本経営における人事の役割を見ていきましょう。

経営戦略への参画

従来であれば、人事の業務といえば採用活動や従業員の教育、労務管理などが一般的でした。しかし、人的資本経営を行っている企業では従来の業務に加えて、経営戦略の実現を目指して人的マネジメントを行う戦略人事の重要性も高まっています。

戦略人事では新規ビジネスの参入や問題の解消などを行う際にどのようにすれば大きな効果が得られるか人事の観点から検討していきます。その他にも、現場で働く従業員の声を汲み取り、従業員に働きやすい環境を提供できるよう経営陣に状況を伝える役割もあります。

オープンなコミュニティの創出

人的資本人事は社内で閉ざされたものではなく、自社を超えて開かれたものでなければなりません。例えば従業員に副業を促し、さまざまなキャリアパスを描けるように提案したり、多様な価値観や能力をもつ人材を受け入れたりしていくことが求められます。

また、関連企業や取引先とのみ関係性を築き上げていくのではなく、地域と良好な関係性を育むことも大切です。自社の魅力を多くの人たちに伝えることで、自社のファンを増やしたり、求人を出した際に多くの応募者を集めたりできます。

これらの取り組みには時間や労力を要しますが、自社が長期的に存続していくためには不可欠なことです。

働き方改革の推進

人事には従業員の働き方を管理し、従業員の満足度を高めることも求められます。現在、多くの企業の人事が働き方改革や時間外労働の削減などに取り組んでいますが、今後はリモートワークやフレックスタイム制などの導入などによって従業員により働きやすい環境を提供するような取り組みが求められます。

従業員の定着率を高め、優秀な人材を獲得するためには子育て中の従業員や介護を行っている従業員も安心して働くことのできる職場環境をつくることの重要性が高まっています。

まとめ

ビジネスが複雑化している昨今、人事の役割もこれまでとは変化しつつあります。企業が高い利益を出すためには人事が経営陣と一体となって企業の課題解決や事業拡大について動くことが不可欠です。人事としての経験や知識を活かし、ビジョンを実現できるような人材配置を提案したり、利益に直結するような従業員の育成方法を提案したりることが求められています。

自社が中長期的に利益を上げるためには短期的な利益にとらわれるのではなく、長期的な視点で事業計画を練ることが大切です。人材育成も企業の将来的な成長に不可欠なものの1つであり、優秀な人材が多く在籍している企業はそれだけ経営面でも安定できるといえるでしょう。

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