はじめに
業種などの条件にもよりますが、入社後3年以内に離職してしまう確率は非常に高く、人材が育たないことで人手不足に陥る企業も少なくありません。
離職するにもさまざまな理由が挙げられますが、その1つに「上司や周囲の人間が合わない」という理由もあり、この問題を解消しないとせっかく採用しても早期離職されてしまうでしょう。
そこで、配属して間もない新人社員の早期離職を防ぐためのオンボーディングのポイントについて解説します。
早期離職の原因と改善策
まずは、そもそも配属間もない新人がすぐに辞めてしまう原因と、その改善策について解説します。
配属半年での離職背後にある要因
配属して間もない新人社員が早期離職してしまう理由はさまざまなものが考えられますが、注目したいのは「周囲の人間や企業文化に馴染めなかった」という原因です。
一般的に、企業で働くにあたっては周囲の人間、要するに先輩社員や上司などと関わらずに仕事をすることはできません。
そのため、仕事をするにあたっては周囲の社員と何かしらの関わりを持ちながら働くことになります。
そのため、人間関係に不満を持っていたり、企業の文化や風土が新人に合わないとストレスを感じてしまい、将来への展望が持てないことから早期離職という選択をしてしまうのです。
オンボーディングの欠如と新人ストレスへの対応
こうした人間関係や企業文化・風土に馴染めなくて早期離職を許してしまうのは、「オンボーディング」が欠如していることが大きな要因となります。
オンボーディングとは、新人社員が周囲の社員や企業の文化に早く馴染めるように、企業側が積極的にサポートを提供するという取り組みです。
オンボーディングは、いわゆる「OJT」よりも幅広い取り組みであり、適切にオンボーディングを実施できていれば新人が周囲に馴染めなくて悩んでしまうリスクを抑えることができます。
人間関係などでストレスを感じるリスクを抑えることにより、新人社員の早期離職を防ぎ、会社の戦力として成長してくれることでしょう。
オンボーディングプロセスの効果的な構築
次に、オンボーディングの効果的なプロセスの構築方法について解説します。
①オンボーディングは「入社前」から行う
OJTは入社後に行うのが一般的ですが、オンボーディングについては入社前の段階からスタートするのが効果的です。
新卒者に内定を出した後、内定を出したタイミングによっては入社までにかなりの期間が生じるケースもあります。
この間の施策が重要であり、内定者の疑問や不安を払拭して入社意欲を高められるように促すだけでなく、内定者との親密なコミュニケーションにより信頼関係を確立させるような取り組みが必要です。
もちろん、入社後のオンボーディングも重要ですが、とくに注意したいのは「中途採用者に対するオンボーディング」です。
中途採用の場合は新卒の場合と比較して採用後に入社するまでの期間が短く、入社前のオンボーディングが新卒者ほど手厚くできない可能性が高くなります。
そのため、中途採用者に対するオンボーディングについては計画的に効率よく進めることで、入社までの期間を有効活用することが重要です。
②新人の特性に合わせたプランのカスタマイズ
オンボーディングやトレーニングにおいては、新人の特性や性格などの条件に合わせて、個別にカスタマイズされたものを提供することが重要です。
統一されたオンボーディングでは、それに合わない新人に対して効果が薄く、早期離職を防げない可能性が出てきます。
そのため、新人の特性を理解したうえで、それに合わせたオンボーディングやトレーニングを提供する必要があるのです。
新人の成功と長期滞在を促進するオンボーディング戦略
最後に、新人の成功と長期滞在を促進するためのオンボーディング戦略について解説します。
ロングタームゴールの設定とステップアップの機会提供
新人の成長に関しては、短期目標の設定も重要ではありますが、長期目標であるロングタームゴールを設定することも重要です。
これにはステップアップの機会を提供することも含まれており、設定したロングタームゴールに合わせてオンボーディングやトレーニングを提供します。
オンボーディングのフォローアップと評価サイクルの確立
オンボーディングやトレーニングを提供するのは、それだけでは効果が見られない場合もあります。
そのため、新人の反応や成長をデータとして可視化し、それを評価して、以降のオンボーディングやトレーニングを提供する際にフィードバックすることでその効果を高めることも必要です。
まとめ
職場の人間関係や空気感は、新人にとってはストレスに感じてしまうこともあり、ストレスを感じないようにするためのオンボーディングを欠かしてしまうと早期離職のリスクを高めることになります。
新人ごとに適切なオンボーディングを提供し、会社に対しエンゲージメントを高めてもらえるようサポートしましょう。